ロンドン〉「感動」だけが五輪じゃない、け

社会部の記者として、五輪を初めて取材した. 主に日本人選手について、社会面に記事を書く. 市井の人の喜怒哀楽を描き出し、共感を集め、願わくば人々の力になる. それが社会面だと考えてきた. スポーツ、特に五輪という舞台は、人生の機微を鮮やかに映し出す. 挫折、出会い、運命、歓喜、涙. 旧世代の記者風に言えば、筆をふるいたくなる素材だ. でも――. 五輪最終盤、すっかり「感動疲れ」してしまった自分がいる. 競技会場の観客席、選手の家族のもとには、いつも日本のメディアが群がっている. メダルが決まった瞬間、無数のハンディカメラやICレコーダーが突き出され、もみくちゃになりながら「感動・感謝」のコメントをとる. そんな光景、日本の報道陣くらいだ. 忍耐強い英国人にも、きっとひんしゅくものだろう. そもそも五輪報道は、こんなにもたくさん必要なんだろうか. どのテレビも新聞も、同じ選手の同じ物語をとりあげる. そして同じ会社の記者同士、ときにネタをとりあいいがみあう. ほかに大事なニュースが起きているだろうに、紙面の扱いは五輪を軸に地球が動いているかのようだ. (いや、本当にそうかも... ) ともあれ、あと1日を残して日本のメダル数は、金6個を含む37個. 小原日登美の夫の涙. かっこよかった. 競泳日本の「チーム絆」. 不思議と泥臭くなかった. 敗れ去った者たちの後ろ姿. 福島千里の弁にもらい泣きしそうになった. 「感動」だけが五輪の価値じゃない. わかっちゃいるけれど、この気持ちのうねりを伝えずにはおられない、とも思うのだ. 答えを探しあぐねているうちに、17日間が終わろうとしている. (石橋英昭). 関西六大学野球の秋季リーグは1日、皇子山球場で第2週の2回戦2試合があり、京産大と大経大が星を五分に戻した. 大経大の福島(4年、大阪桐蔭)が2安打を放ち、リーグ史上10人目となる通算100安打を達成した. 福島は大阪桐蔭が2008年夏の全国高校選手権で優勝した時のメンバー. 京産大延長15回タイブレークの末、競り勝った. ◇ 京産大(1勝1敗)2―1大商大、大経大(1勝1敗)8―5大院大.